靴紹介なんて今更かと言われればそうですし、そもそも200記事ぐらいある下書きの全てがもはや今更なのでその辺はもう気にしないこととします。笑
ということで超絶久々に靴紹介の記事を書こうかなと思いますよ。首藤と言えばハインリッヒディンケラッカーですが(勝手に言ってる)今回は唯一のローファーラストWienのご紹介です。日本でも結構メジャーなラストではあると思うんですが、この靴はちょっと他のウィーンとは違うのでその辺りもご紹介していきたいと思いますよ。
スペック紹介
ということでまずはスペックからどうぞ。
- BRAND:HEINRICH DINKELACKER / ハインリッヒディンケラッカー
- STYLE:Penny Loafer / ペニーローファー
- LAST:WIEN / ウィーン
- MATERIAL:Luxurious Shell Cordovan / ホーウィン シェルコードバン
- COLOR:Dark Cognac / ダークコニャック
- SOLE:Double Sole featuring Synthetic Wedge & Braided Welt / ダブルソール(スポンジソール) & ブレイデッドウェルト
- SIZE:5.5 G
ホーウィンのコードバンの中でもディンケの象徴的カラーであるダークコニャックを使ったローファーです。
やっぱりこれが欲しかったんですよねえ。ダークコニャックでノルウィージャン仕様のローファーが。とにかくかっこいいじゃないですか。履き心地とかソールのかえりとかはツォップナートなしのシングルソールのローファーの方がいいんでしょうけど、そんなことどうでもいいぐらいにはこのかっこよさに惹かれていました。ほんと買えてよかった。
後ほど紹介しますが、こちらはBUDAと同様のツォップナートが搭載されたモデルとなるため、アウトソールはレンデンバッハではなくディンケオリジナルのスポンジソールが使われています。これで少しでも曲がりやすくしよう的なあれですね。
そしてサイズは5.5です。首藤はディンケのラストはすべて大体すべて同じでいける説(首藤は6.0です)を推してたんですが、まさかのここで例外に出くわしてしまいました…。サイズ交換出来て本当に良かったと思います。リファーレさんありがとうございますまじで。
ちなみに開封の儀やサイズのあれやこれやについては過去記事もあるのでよろしければどうぞ。
ぐるっと全体を見てみよう!
お次は恒例のぐるっと全体を見てみようのあれです。いろんな角度で見たいでしょ?
この真上からのショットって靴の全体像を捉えるうえですごく大事だと思っていて、ここから見て綺麗だなあとかかっこいいなあと思う靴は大抵かっこいいです。Wienはほんとこれが綺麗。
斜めからぐるっと見ていきますよ。
首藤の好きな靴の特徴的に「どの角度から見てもかっこいい」ってのがあるんですが、これはまさにそれを象徴するような靴な気がします。
ローファー専用ラストWIEN(ウィーン)
ご紹介の通りこのローファーのラストはWien(ウィーン)と言います。唯一のローファー専用として開発されたラストですね。他のモデルはラストごとに様々なデザインがありますが、ことWienだけはWien=ローファーデザインという術式が成り立つわけです。
ちなみにJanoshというラストでもローファーらしきデザインがあるのですが、あれは確か履き口にゴムが入ってるのでローファーデザインのセンターエラスティックになるのかな。純粋なローファーはWienだけです。たぶん。
Wienはこのコインローファー(ペニーローファーとも言います)の形状が一番多いように見受けられますが、他にもタッセルやオペラなんかのデザインバリエーションがあったりします。今となってはかなりのレアものですけどね。
そしてコインローファーもサイドのステッチがビーフロールになっているものとなっていないものがあります。ノルウィージャンモデルはすべてビーフロールタイプですね。ちなみにコインローファーはビーフロールタイプがヴァンプが短く、通常のステッチタイプがヴァンプが長いのでこれによってややサイズ感が異なります。この辺はまた今度別のサイズ感の方の記事で書いていきます。
Wienの特徴の一つとしてまずはこの丸みのあるフォルムが挙げられるかと思います。トゥの形状が結構丸くて捨て寸も短い感じで、個人的にはオールデンのVANラストとちょっと似てる気がします。
そしてWienの特徴その2にして最大の特徴はこのまん丸ヒールカップじゃないでしょうか。このWienというラストはローファー専用に開発されたこともあって踵のフィッティングにはかなりの定評があります。
そもそもディンケ自体が全モデルを通じてかなり踵のフィット感にこだわっているブランドなので、RIOやBUDAですら中々に凄まじいのですが、作り的にはこのWienも相当やばい部類に入ると思います。
この踵部分のヒールカップの形状を作るために一度しっかりと成型を行って丸一晩寝かせ、そしてもう一度同じ作業を行ってしっかりと形を作ることで半永久的に型崩れしないなんて言われている程です。本当に型崩れしないかどうかはわかりませんけれども、紐で調整できない分踵のフィッティングには相当こだわっているのは事実で他のモデルよりヒールの形状の成型には時間をかけているみたいです。
ローファーというのはもともとのサイズ感や足に合うか問題みたいなのもあるかと思いますが、首藤としてもWienの踵のフィット感は中々すごいなーと思います。確かに踵抜けはしないですね。
奇跡の別注ノルウィージャンローファー(ツォップナート)
これはWien自体の特徴ではないかもしれませんが、まさかのノルウィージャンです。ローファーにツォップナート。履きやすさやかえりの良さ、快適性が求められるローファーにごっついノルウィージャンステッチですよ。わけわかんないですよね。
そもそもノルウィージャンウェルトって湿地帯なんかを歩く時にウェルトからの水の侵入を防ぐために開発されたディテールなんですけど、コードバンの時点でもはや目的見失ってますからね。でもいいんです。かっこよさはすべてを超越する。
ノルウィージャンローファーは本国でも結構前に作っていた仕様でもう作っていなかったものを、日本の代理店だったアイダスが日本別注のような形で復活させた経緯があるそうです。なのでほぼ日本限定仕様みたいなもんです。
以前MTOしたいなーと思いドイツの取り扱いショップに「ノルウィージャンローファーってできる?」って聞いたら「あー、めっちゃ昔にやってたけど今はもうやってないなあ。作れないことはないかもしれないけどできるかはわかんない(意訳)」みたいな回答が来たことがありますので、まじで本国含め海外では作ってないんだなあとその時思いました。
ちなみに首藤が購入したリファーレさんでは確か20年ぶりの復活みたいなことを書いてた気がするので、海外ではほんとにそれぐらい作ってなかったのかもしれないですね。
そして確かリファーレさんが別注依頼かけたときに最初工場長に断られたそうです。工場長どんだけ作りたくなかったんだ。笑 しかしながら最終的には「これ以降もう二度と作らない」という約束のもと、最後のノルウィージャンローファーとしてリリースされることとなったんですねー。
まあその後ツォップナートの作り手がいない問題、工場閉鎖などの事件が相次ぎ、物理的にもう二度と作れないモデルになったわけですけども。
ずっと前からダークコニャックのノルウィージャンローファーの新品が欲しかった首藤としてはもう最後のチャンスだから絶対に手に入れなければと思い、めちゃくちゃ無理して買った記憶があります。笑 色々手放したなあ…(遠い目
それでもこのツォップナートを見るたびに本当に買ってよかったなあと思います。たぶん首藤の靴史上一番高かったです。それでもいい。それでも幸せなの。
ダークコニャックコードバン
お次はコードバンのお話。ハインリッヒディンケラッカーはホーウィンのコードバンを使ったモデルが人気を博しているわけですが、とりわけ人気のカラーが二つあります。それがネイビーと今回のダークコニャックです。
今でこそダークコニャックカラーのコードバンは結構出回ってますけど、数年前はまじでディンケにしか存在しないカラーみたいな扱いでした。オールデンのレアカラーのシガーともよく比較されるカラーです。
少し緑がかっている深みのあるブラウンと言われています。もう最高なんですよほんとこの色味が。
ホーウィンのコードバンてブラウン系のカラー展開がめちゃくちゃ多いんですけど、結構明るすぎたり赤みが強かったりで中々コーディネートに溶け込みやすいとは言いづらいカラーだったりするんですけど(それはそれでパンチがあって好きなんですけどね)、このダークコニャックは抜群にコーディネートに馴染みがいい色だと思います。
首藤の中ではやはりディンケと言えばダークコニャックみたいなイメージがありますね。ネイビーとともに改めて象徴的なカラーだと思います。
オリジナルラバーソール(スポンジソール)
お次はソールについて。コードバンで雨の日なんて履かないのにラバーソール?レザーソールでよくない?という疑問が沸き起こりますよね普通。
通常Wienのソールはかえりの良さを目的としてシングルソールなのですが、このツォップナートモデルのみ碑文みたいなラバーソールが使われています。これはディンケの中でもかなり軽くて曲がりやすい部類のラバーソールですね。柔らかさ重視のスポンジ系のソールらしいのでめちゃくちゃ削れるの早いです。
ソール事情としてツォップナートが付いているモデルは、ノルウィージャンの製法上ステッチ跡が大きくなるのでダブルソールでしか製作できないという事情があるようです。
上記からノルウィージャンモデルの場合ステッチ跡の補強を目的としてダブルソールが前提となるのですが、さすがにダブルレザーソールだと足死ぬのでは?ってことでアウトソールが一番柔らかいラバーソールが使われてるわけですね。
この碑文ソールがディンケのなかで一番柔らかいはずです。あのシャークっぽいやつは別として。
ツォップナート+ダブルレザーソールって実質BUDAと一緒ですからね。紐靴でバキバキに縛ってあれですから、首藤は身をもってローファーにレンデンバッハのダブルレザーソールは無理だってわかっています。笑
一応このブランドの刻みが滑り止めにもなってるのかな…?
トップリフトはいつものディンケ節炸裂ですね。ゴリゴリ飾り釘打ちまくりの滑りまくり仕様です。笑 かっこいいから気にしないぜ!!!滑るけども!!!
細かいディテール
ここまでに散々解説してきたのでディテールも何もないんですが、画像で「ほーん、こんな作りになってるのかあ」みたいな確認でもしていただければと。
一度斜めから全体をどうぞ。うーん、改めて美しい。
モカ縫いは拝みモカですかね。合わせモカとも言いますが、これはあれです。モカ割れをするタイプのモカです。笑
まあでもモカなんて割れてなんぼなんで割れたらリファーレさんに持ち込んで直してもらおうと思ってますよ。個体差はあるみたいですが首藤のは割とがっちり縫ってあるので、しばらくは心配なさそうな予感です。
タンはサドル縫い付けではないタイプですね。
履き口のぐるーーっと一周縫ってるやつ。これなんか名前あったけど忘れちゃいました。なんでしたっけね。ここは結構ローファーで修理とかしたりするところですね。ダークコニャックでも修理できんのかな。
ヒールは補強パーツがあるパターンですね。ダブルステッチで強固に縫い付けられてます。
インサイドのライン。アッパーの縫製の印象はかなり堅固に縫ってあるなあという感じ。ローファーだから圧力がかかりやすいのでしっかり縫ってるんでしょうか。ウェルトがツォップナートだから余計にバッキバキに見えます。笑
ビーフロールの部分はステッチが二重になってますかねこれ。四角を三つ並べて縫ってるみたいな、不思議なビーフロールパターン。履き口がローファーの中で一番裂けやすい部分なのでかなりガッチリとまってます。
タン裏と中底です。ディンケはハーフソックべろんちょ問題を早急に解決してほしい。すでに工場が移転して製法も材料も変わってるかもしれませんけど、是非ここは改善されていてほしいところです。笑
お馴染みディンケマークです。飴色になるまで履きこんでやりますよ。
ヒール部分は他のモデルと同様に起毛なので、いい感じに滑り止めになっています。かたいと踵すぐやられますけどねこれで。
ハーフソックは柔らかい素材の革が使われているので足辺りはかなりいいです。山羊か羊どっちかだったはず…笑 羊だったかなあ…。わかんないまま書いちゃうのが首藤革靴出張所なので首藤がこういう書き方してるときは何も信じないでくださいね。
まとめ
中々に盛りだくさんの記事になっちゃいましたがどうですか。いいでしょうこれ。かっこいいしすごいしかっこいいしやばいしたまらんしかっこいいでしょうこれ。もう新品を手に入れるのほぼ無理ゲーですからねたぶん。
そもそもが日本別注みたいなモデルだったのに加えて、工場長をしてもう二度と作らないと言わしめたモデルでさらに工場閉鎖でそもそも物理的にもう新たに作られることがないとくると、そのレア度は半端じゃないですからね。同じモデルを所有されている方、大切にしましょうね。一緒に長く履いていきましょう。
工場長、あなたが最後に作る決意をしてくれたおかげで首藤は憧れのこの靴をゲットすることができました。(工場長のおかげかは知らんけど)
それでも首藤は名前も知らない工場長に感謝を捧げながら履いていきたいと思います。ありがとう。BIG LOVE。この想い、工場長に届けー。