みなさんありましたよ…
あったんですよ…!
スペイン製のRIO(リオ)が!!
そしてまさかの口伝の情報だけじゃなくて、しっかり画像もゲットしております!
今まで幻だと思われていた野生のスペイン製RIOの情報が入ってきたので、ラッカーの皆様にしっかりと共有させていただきたいと思いますよ。
しっかり共有とか言っときながら、こちらの情報をいただいたのが2022年の10月だったことに今更ながら震えております。
がっつり半年時間もおいてしまって誠に申し訳ない気持ち…
遅くなってしまいましたが、情報のご提供本当にありがとうございます!!
やっと書きましたよ…!!
日本からハインリッヒディンケラッカーの情報が消えてしまって早1年…(ぐらい?)、スペイン製のRIOの現物画像というのは中々貴重な情報だと思いますので、皆様是非ご堪能くださいませ!
Heinrich Dinkelackerのこれまでのあらすじ
まずはハインリッヒディンケラッカーのここ数年の動きをかるーくまとめてみましょう。
その方が、首藤がなぜスペイン製のRIOの登場にここまで驚いているのかご理解いただけるかと思います。
これまでのあらすじ
2020年の年末あたりから、ディンケの二枚看板であるBUDA(ブダ)とRIO(リオ)が生産停止との情報が公表されました。
ツォップナートを縫っていた職人の退職やコロナの影響で技術の継承がうまくいかず、まさかのアイコンモデルが生産停止。
ちなみにその後生産復活はしませんでした。
2021年6月に、ディンケ初の直営店となるハインリッヒディンケラッカー大阪がオープン。
運営は、ハインリッヒディンケラッカー正規代理店であるアイダスと関係の近いCento trenta(チェントトレンタ)。
BUDA/RIO生産停止という暗いニュースが続く中でのまさかのオープンによりラッカー歓喜。
2021年7月頃(たしか)に、ブダペスト工場の閉鎖が日本公式から発表される。
本国公式サイトを確認すると、実質的に2020年から工場移転は進められていた模様。
ハンガリーの職人たちは一人もスペインの工場には行かなかったそうなので、事実上の伝統的なハンガリー・ハンドソーンディンケの終焉。
靴の生産で有名なスペインのアルマンサに工場を移転。
元ハインリッヒディンケラッカー大阪のオーナーのブログによると、スペイン工場製のものはマシングッドで生産されているとのこと。
ハインリッヒディンケラッカーの生産は、完全にハンドソーンからグッドイヤーへ移行。
そもそもRIOは2020年から新しく生産されてないはず
ここまで読んでいただいた方ならラッカーでなくともおわかりいただけたかと思うんですが、なぜ首藤がこんなにスペイン製のRIOに驚いているかというと、RIOって2020年から生産していないはずなんですよ。
そして生産停止の理由的に、2020年以降もずっと生産できないはずなんですよね。
2020年の年末あたりにBUDAとRIOの生産停止の話があって、その理由が職人の退職とコロナによる技術継承の困難、だったはずなので普通に考えてその後も復活できないじゃないですか。
風の噂でBUDAやRIOが縫えるマイスター的職人が辞めちゃって、その後弟子がなんとかできるように頑張ってるって話を聞いたことがありますが、そもそも誰もスペイン工場に行ってないとなるとそのお弟子さんの話も関係ないでしょうし。
こう考えると物理的にRIOを縫える人がいないので、復活できないか、出来たとしてもかなり先の話になるのかなーなんて思ってた矢先にこの情報ですよ。
そりゃ首藤も、え、スペイン工場製のRIOあんの!?ってなりますよね
正直なぜRIOが生産出来てるのかまでは全然存じないんですが、順当に企業努力が実ったんでしょうかね…笑
まあでも普通に考えてマシングッドならトリプルソール縫える縫えないって関係ない気もするので、木型さえあればまあできるかな?とも思うっちゃ思うんですけども。
普通にすくい縫いと出し縫いを機械でやって、その後アウトソールを接着で貼りつければいいわけですし。
まあでもその辺の難しさや実現の可否なんかは、どちらにしろ素人にはわからない部分ではあるので、とりあえず予想より早くRIOが復活したんだ!!ということで喜んでおきましょう!ヒャッハー
理由は関係ねえ!
企業努力と職人に感謝だ!!
スペイン工場製のRIO現る…!
まさかのスペイン製のRIO?
2022年の10月頃にとある方から、兄弟がスペイン製のRIOを手に入れたので見てほしいとDMをいただきまして。
えええええ???スペイン製のRIO???あるのおおお???
ってなるじゃないですかラッカーなら。なったんですよ首藤は。上記の理由で。
その方の話によるとスペイン工場製のRIOは実際のところかなりいい感じで、全然世間が言うほどの悪い出来には見えないとのこと。
ハンドからグッドの流れなんて英国靴でもあった話だし、これだけいい感じのクオリティのものが作られるならラッカーとしてはスペイン製も応援していきたい!的なことを仰られておりまして、首藤大感動だったわけなんですよ。
まあまだスペイン製は全然流通してないってのもありますが、スペインもいいじゃん派のご意見って聞いたことがなくて、そういう前向きな考え方はとってもいいなあと思いました。
スペイン製のサンプルや実物を見ていなかったので首藤的には何とも言えないところではありましたが、たしかに各方面からの「スペイン製のものはもうディンケじゃない…」「もう僕らの知ってるディンケはなくなった…絶望」、みたいな感じだけの風潮には若干の違和感を覚えていたのは確かなんですよね。
伝統ある最高の技術の結晶が潰えてしまったことはとても残念なことですし、ブダペスト工場でのマイスターの手縫いこそディンケ!!みたいな価値観は確かにわからなくはないんですけれども…
なんというか、そこまで寄ってたかってフルボッコに言う…?みたいな。笑
まあ首藤もこの一年で時間をかけて受け入れ方も柔軟になったのかもしれませんけどね。
工場閉鎖の発表当初は同じように絶望していたのは間違いないですし。
販売する方は妥協はできないプロで、当然モノを見る目もあるはずですし、それで生計を立てなければならないので死活問題であることは間違いないんでしょうけどもね。
…いや、それぞれ状況や立場があるのでこれ以上は何も言うまい!
とまあそんな感じで、首藤もRIOはもとよりスペイン製のディンケのクオリティについては非常に気になっていたところではあるので、大変いい機会に恵まれたなあという感じだったわけです。
ストックじゃない証拠は?
ちなみにブダペスト工場製のストックじゃない根拠としては、一応二つありまして。
まず一つは、公式からMTOで作っているとの回答があった(らしい)ことです。
購入された方に直接お話を伺ったところ、公式サイトで普通にポチったけど全然届かず連絡してみたところ、「MTOだからまだ待って」というお返事が来たとのこと。(首藤もメールの文書拝見しました)
MTOってのは通常イメージしてるのとは違って受注生産的な意味で捉えると、2021年の9月とか10月の注文で新しく作ってるってことになるので、必然的にスペイン工場での生産になるわけなんですよ。
そしてもう一つの理由は、サイズがUK5なことです。
これでピンときた方は中々ラッカーレベル高いと思うんですが、ハインリッヒディンケラッカー自体が実はUK5.5までしかサイズを用意してないんですよね。
首藤もそこまでラッカー歴が長いわけではないですが、これまでたくさんの情報を調べたり見てきたりしてUK5.5より下のサイズは見たことがありませんでした。
もちろん公式サイトでも以前はUK5は記載すらありませんでしたしね。
ディンケを取り扱っていた店舗の方にも、「ディンケは5.5までしか作ってないです」と聞いたことがあるのでその辺は間違いないかと思います。(たぶん。あったらすいません。笑)
ということでこの二つを根拠に、首藤としてはおそらく間違いなくスペイン製なんだろうなという風に考えております。
スペイン工場製のRIOを見てみよう!
ということで前置きが大変長くなってしまいましたが、ようやくお目見えでございます。
こちらがスペイン工場製のRIOの全貌です!!
ドーーーーーーーン
スペイン工場製のRIO(リオ)、ダークコニャックコードバンのフルブローグです!
なんだこれ、普通にめちゃくちゃ良くないですか??
普通に遜色なくかっこいいぞ…??
アウトソールはもうまんまですね。
素晴らしい。
化粧釘もしっかり入ってますし、底材も変わらずレンデンバッハのソールです。
若干のっぺりしてるかな?と思いましたが、過去画像見直したら全然ブダペスト製ものっぺりでした。笑
これはもうラストのせいですね。
気になる点としては、新品なのに若干履き口が開き気味?な感じな気がしますが、たぶんこれもフルブローグの特性な気がします。
過去画像見直したらおんなじ感じでした。笑
そしてソックシートのロゴが変わってますね!
これはクオリティには直接関係はないですが、ちょっと寂しくなったような?
前の重厚感ある四角いロゴの方が首藤は好きかもです。
アウトサイドから見た感じ、完全に俺たちが知るRIOじゃないですか!
ここにいたのかRIO!探したんだぞ!
全然シェイプにも違和感ないです。
コバ部分の塗り(ヒールの積み上げのコバ含む)が若干バラつきがあって雑かなー?と思ったりもしましたが、その辺は今後コバインキなんかでコバケアしていくとなるとあんまり関係なさそう。
仕上げ自体は問題なさそうですもんね。
違いが出るならここかなー?とは思っていましたが、ヒール部分に関してはやっぱり若干差が出てますね。
ここはちょっとブダペスト製に軍配が上がるかも。
若干縫製がアウトサイド側に倒れてますかね?つり込みの関係かなこれは。
これが足の構造を考慮した進化とかだったら別なんですが。
ブダペスト製ではシームレスでしたが、スペイン製は真ん中に縫い目があります。
そしてヒールの積み上げが、下に向かうにつれ若干ハの字に広がってる?ように見受けられますね。
この辺も意図的なのかわかりませんが、相違点として挙げられる部分かなと。
インサイドはアウトサイド同様全然違和感なしです。
かっこいい。
若干スクエアっぽいかな?とも思いましたが、他の画像見たらそんなことありませんでした。
見え方の問題ですね。
出し縫いの感じも特に違和感はないです。
美しい…とまではいきませんが綺麗に等間隔に入っているように見えます。
ブダペスト製とそこまで違いは見られません。
トゥボックスとトリプルソール。
マッコウクジラみたいなボックス感あるトゥ形状や、重厚感あるトリプルソールも健在ですね!
完全にRIOです。
当たり前ですけど、これだけだと全く見分けがつかないです。
ブダペスト製と比べてみる
せっかくなので、首藤が以前所有していたブダペスト製のダークコニャックフルブローグRIOと比べてみましょう!
すでに手放してしまっているので、中々同じような角度の画像というのが見つけられなかったのがあれですが、近い感じの画像を選んでみました。
あくまで参考までにどうぞ!
なんだかんだ言いつつも、並べてみると割といい感じの比較画像になったんじゃないでしょうか。笑
ここまでしっかり比較できるブログは他にないですよ!奥さん!!
そしてやっぱり実際に比較してみても、そこまで決定的にスペイン製のものは良くない!俺たちが知ってるディンケはもう死んだ…みたいになるほどの違いは見受けられないんですよね。
局所的には確かにヒール付近はちょっとあんまり良くないなーとは思いますが、全体的にはかなりクオリティ高めなRIOに仕上がってると思います。
ブダペスト製と比べちゃうからあれなのであって、普通のグッドイヤー製法のコードバンシューズと考えると、中々いい感じなんじゃないでしょうか。
首藤は割と肯定的な感触ですけれども、色々とレビューしたり比較してみて、皆様はスペイン製のRIOどう思われますか??
首藤の感想:普通にめっちゃ良くない?
首藤の素直な感想なんですが、スペイン製のRIO、普通にめっちゃ良くない?という気持ちです。
見た目での比較しかできていないですが、しかも画像だけですけれども、それでも予想以上のクオリティに仕上がってるんじゃないかなーと思いました。
出だしが散々な言われようだったので、期待値がめちゃくちゃ低かったのもあるのかもしれませんが。笑
それでも頑張ってるなーという気持ちが伝わってくる気がします。
ちなみに細かい感想を正直にまとめてみるとこんな感じ。
良い点 | 良くない点 |
---|---|
全体的なシルエットや見た目はハンドと遜色なし アウトソールの剛健さや装飾性も健在 トリプルソールやトゥ形状もGOOD UK5.0も作れる | ヒールカップの形状と縫い目 積み上げの広がり気味のシルエット ソックシートのロゴの変更 値段(ハンドの時と同じ) |
まあどうかなーという点を強いて挙げるとすると、首藤が気になったのはやっぱりヒールですかね。
RIOもそうですが、ディンケ自体やっぱりヒールが命みたいなところがあるので。
ヒールカップのシェイプやシルエット、あとヒールの積み上げなどの処理に関してはやはりブダペスト製に軍配が上がるかなーと思いました。
ぶっちゃけその部分は結構クオリティに差があると思います。少なくとも見た目上は。
履いた時のフィット感や歩行感については、実際にゲットしてみないとわからないですけどね
あとはマシングッドってことはリブテープがあるはずなので、コルク的な中物が詰められてると思われるわけですが、その辺がハンドソーンの時の所謂「絨毯の上を歩くような履き心地」とどれぐらい違いが出るのかっていうのも気になるところです。
リブテープの硬さやコルク(的な中物)の沈み込みだったり、その辺りも気になりますね。
まあトリプルソールの時点でカコカコなので、個人的にはソールのかえりなんかはそこまで変わらないんじゃないかなーとは思いますが。笑
そして気持ち的にグッドイヤーとハンドソーンが同じ値段っていうのはどうしてもこう、過去の品を持っていて且つ製法の違いを知っているだけにぬーーーんという気持ちが否めなくもないですね。笑
昨今の革靴界隈全体の値上げや、他ブランドのグッドイヤーコードバン靴の値段を考えればそこまで高いという感じではないので、雑念を取り払って客観的に見れば大きなデメリットではないかなーとは思います。
まとめ
ということで中々のボリュームとなってしまいましたが、スペイン工場製RIOのレビューとブダペスト製との比較でした。
ハインリッヒディンケラッカーのスペイン工場移転、ハンドソーンからグッドイヤーへの切り替えに関してはディンケファンなら様々な思いやご意見があると思います。
もちろん首藤も当然思うところは色々あります。
寂しいとか残念とかもったいないとかもうMTOできないし憧れは手に入らないんかとか。
それでもブランドを存続させるためにめちゃくちゃ悩んで頑張ったんだろうなあと思うと、首藤的にはやっぱり応援したい気持ちが先立ちますかね。
ブダペスト製のディンケがなくなってしまうということは、貴重な技術の損失であってそれ自体はとても残念なことですが、スペイン工場製のものは全く新しい別物だと考えて受け入れていくのも大事なんじゃないかなーと思ったりします。
ラッカーとしてはこういう変化も受け入れて、過ぎ行くブダペスト製の最高さを称えつつ新たなグッドイヤーの門出もまた別物として楽しめればいいのではないかなと。
その辺の思いや考えについては、またディンケの行く末を考えるブログで語るとして…
スペイン工場製のクオリティに関しては気になっていた方が非常に多いかと思いますので、今回のこの記事が皆様のこれからのラッカー生活の参考になれば幸いです!
そして改めまして、今回は貴重な情報のご提供本当にありがとうございました。
皆様ももしスペイン工場製のディンケを買ったよなど情報がありましたら、首藤のもとまでドシドシご連絡くださいませ。
また色々レビュー記事を更新させていただきたいと思います。