ここにきてようやくちゃんと【靴紹介】です。
これに関してはなんかもう書きたいことがありすぎて後回しになってしまった感じです。そういうのってありませんか。
時間をかけてちゃんとやりたいからと思っていたら、全然タイミングがなくて結局盛り上がりが終わった後に完成するみたいな。好きなものを最後に食べようと思って残しといたら、結局お腹いっぱいになって全然おいしくいただけなかったみたいな、そんな感じです。
でも大丈夫。靴紹介はいつ食べてもおいしいはず。
スペック紹介
まずはスペックをご紹介します。こちらどうぞドン。
BRAND:VASS / ヴァーシュ
STYLE:Sharp-Oxford with medalion and heel cap, plain / 内羽根プレーントゥ(アデレード)
LAST:FBラスト
MATERIAL:museum calf / ミュージアムカーフ
COLOR:Grey / グレー
SOLE:double sole tapering to single, beveled waist, metal toe plate / スペードソール+べヴェルドウェスト+メタルスチール(レンデンバッハ)
SIZE:40
もうなんかてんこ盛り過ぎて逆にわかりづらい!笑
一つずつ個別に紹介していきますね。
VASSについて
VASS(ヴァーシュ)は、超スゴ腕靴職人のラズロ・ヴァーシュ氏が1978年にハンガリーはブダペストで創業した、東欧随一の革靴ブランドです。上のおじさんがラズロさんですね。(失礼)
イギリスなどにある伝統ある紳士靴ブランドと比べると歴史こそ浅いものの、そのクオリティは凄まじいものがあります。ラズロ・ヴァーシュ氏は国際靴職人技能コンクールで金メダルを獲得するなど高い技術を持つ職人であり、ハンガリーの伝統に則ったフルハンドソーン製法を重要視していることもあって、その出来は並み居る有名ブランドに引けを取りません。
なんかよく雑誌に書いてあったかなんかで世界最高峰の規制靴みたいな触れ込みがありますが、事実かどうかは首藤はわかりませんけど、なんかそういうの、かっこよくていいですよね。笑 エドワードグリーンでもジョンロブでもウエストンでもなく、ある種マイナーなVASSが選ばれるっていう。そこに東欧靴のロマンをそこはかとなく感じます。
日本では東欧靴と言えばハインリッヒディンケラッカーの名が挙がることが多いですが、あれはブランドの本拠地的にはドイツですよね。まあ製作は同じブダペストなので東欧靴という括りでもいい気はしますけども。
最近でこそ知名度がぐんぐん上がってきているVASSですが、こちらはブランドも製作もハンガリーなので、まさに東欧靴です。ハウススタイルも完全なる東欧靴を作っているので、首藤の大好きなブダペスターなモデルも存在します。
作りに関して首藤が見た感想を申し上げると、ハンドソーンとかかっこいい呼び名よりは、職人の手作業みたいな言い方の方が合ってる気がします。笑
結局同じなのはわかってるんですけど、なんかニュアンス伝わります?
ハンドソーンっていうと、すごいエレガントで流麗なスタイリッシュな仕上がりなイメージありません?でもVASSは違いますよ。ぶっちゃけ仕上がりはそこまで均一でもないですしそこまでエレガントでもありません。笑 はっきり言ってアラは探せばいくらでもあります。
しかしながら手作業でしっかり作られてんなぁ、というある種の安心感というか、ぬくもりというか、職人の心意気というか頑張りというか、そういうのが目で見てわかる感じなんですよね。一見綺麗だけど中身はどうよ?みたいなのって結構あると思うんですけど、VASSはもう見た目だけ綺麗にして取り繕うみたいな気はサラサラなさそうなので、そういうところはすごい信頼できる気がします。笑
デザイン!
VASSは特にモデル名などはありませんので、通常型番で呼ばれます。それかBudapesterとかAusterity brougeとかみたいな通称名ですね。
公式サイトのここにいけば、大体のモデルと型番は載っているかと思います。
しかしながら首藤の今回のモデルは、型番も特に用意されていません。VASSがメールで送ってきたモデル名のところには「Sharp-Oxford with medalion and heel cap, plain」と書いてありましたね。笑 さすがにこれがモデル名はどうかなーと思うんですが。笑
この靴はちょっと特殊な成り立ちをしていることもあって、首藤は勝手に靴のデザインから「メダリオンアデレード」と呼んでいます。
出会いはインスタ!
お前もかーーーい!!という声が画面から聞こえてきそうですが…笑
すげえ前にもでぃふぁいどさんと物欲で物欲を洗うようなDMのやり取りをしていたことがありまして、その時に二人して一気にVASSに火が付いたんですよね。笑
そして二人ともインスタのモデルにそれぞれ恋をしてしまったわけです。
ちなみに首藤がヤラれたのはこのモデル!
一見ただのオックスフォード(内羽根)モデルに見えますが見てください。
ストレートチップではなくプレーントゥなんですよ。それもメダリオンありの。さらにヒールのキャップに沿うようにしてブローグが施されています。そんなちょっとしたアクセントもかわいいポイント。
さらにレースステイの切り替えが、アデレードの形状ですがブローグではなくステッチで表現されてるんですよね。それによってキュッと引き締まった表情になっていて、木型のむっちり感との対比が良い感じです。
え?なんかデザイン違くねえかって?そうですよ違いますよ。なんで違うかは別に隠す必要もないのでサクッといいますけど職人さんのうっかりミスです。笑
これに関してはまた別の記事で今回のモデルが出来た経緯をしっかりご紹介しますね。笑
届いた靴のデザインは?
えーなんと、レースステイ周りがすべてブローグになっています。笑
この部分がステッチで表現されていたので引き締まった表情でいいなーという思いもあったんですが、これはこれでかっこいいので良しとします。ここがブローグになったことでこの靴はアデレードと呼べるにようになりましたね。
トゥはプレーントゥでメダリオン付き。シンプルなデザインです。
5アイレットのクラシックな面構え。
バトルアックスみたいになってるアデレードのカクカクした部分と曲線の組み合わせがすごい好きです。
ちなみにアデレード周りのブローグはヒールの特殊な縫い方を経て、グルっと反対側に一周します。
これはこれでめちゃくちゃかっこいい仕様になりました!
アデレードだけどメダリオン付きのプレーントゥ、ブローグ付きのヒールキャップ、フォーマルなのかカジュアルなのかよくわからない不思議な顔つきがこの靴のいいところです。
スペードソール×べヴェルドウェスト
今回首藤がテンション上がったのがこの部分です。
まさかのスペードソール、正式にはハーフミッドソールと言うんでしたっけ?な仕様になったことです。インスタの御写真見てお気づきの方もいると思いますがあれ通常シングル仕様なんですよね。
しかしながら首藤のモデルは諸事情があり、このロマン仕様のソールに変更になりました。ちなみにこれMTOではございません。
ベヴェルド部分のコバ処理がかっこいい…
正直他ブランドのベヴェルドウェストと比較すると、ちょっと違う感はあるんですけれども…笑
ハーフミッドソールの靴は初めてなので履き心地が気になりますね。
ソールはレンデンバッハ!
ソールはみんな大好きレンデンバッハ!
VASSのレザーソールの標準装備はレンデンバッハだと思われます。ラバーソールはダイナイトかビブラムが選べるはずですね。
ヒールの化粧釘も、THE 東欧靴って感じがしてたまりません。
栄光のJRロゴと隠す気のないヒドゥンチャネル。いや隠せよ。
コバ処理は普通でしょうか。首藤は綺麗だなーと思いますけど。
もっと細かいところだと段差等も全くなく均一な感じになるんでしょうね。
今回はメタルトゥキャップも標準でついています。これは、えーと、どこのスチール?笑
首藤的にはヴィンテージスチール的なのを想像してたのですが、まさかの薄いフラットな鉄板みたいなやつ打ち付けられてると思いませんでした。笑
スチールが薄いのかわかりませんが、一体化しすぎです。
グレーミュージアムカーフ!
首藤人生初めてのミュージアムカーフです。
VASSで初めて頼むならミュージアムカーフで頼むと決めていたんですが、完全にこのグレーにやられてしまいました。
インスタの画像の光に当たると若干紫っぽくなるこの感じが非常に好みです。実際にはちょっと薄い茶色?みたいになるんですけどね。紫っぽくは全然見えないのでそこだけは期待と違うところでした。笑
でもめっちゃくちゃ綺麗なんですよほんとに。
VASSのミュージアムカーフはどこのタンナーなのか名言されていませんが、めちゃくちゃ綺麗に染まってます。靴好きとしてはどこの革とかわかって履いていた方が楽しいですが、まあしょうがないですね。綺麗なので全然よしとしましょう。
こう見ると全然わかりませんね。通常のブラックにも見えます。というかこれはスマホカメラの性能の問題では…?
FBラスト
FBAラストについてはこちらの記事で詳細にご紹介していますね。
ラズロ・ヴァーシュ氏の孫のピーター氏がFラストをモディファイして作ったラストになります。インサイドストレートアウトサイドカーブを強調して、よりコンフォートな履き心地を目指した木型のようですね。
過去記事の通り首藤には少しサイズが大きかったんですが…
それでも踵と踏まずのフィット感だけは異常だったんですよね。半端じゃなく喰いつきが良かったです。なのでそれはおそらくFラスト由来のもので、あまり変更はされてないんじゃないかなーという気はします。
正直あれだけ踵と踏まずがフィットしてなかったら手放してるサイズ感でしたからね。笑
踏まずに関してはモディファイドラストまでは行きませんが、ディンケでいうとBUDAやZURICHに近い感じのフィット感がありますね。アーチに沿ってしっかり支えられている感があります。
そしてヒールカップに関しては、かなり初体験な履き心地なんですが、優しくつかまれてる感がかなり心地いいです。これはディンケでも味わえなかった感覚ですね。
ディンケはどちらかと言えば、ヒールの履き口部分がかなりすぼめられており、入り口を狭くすることで上から抑える要領で抜けないようにする、という意図を感じるのですが、VASSの方は上から下まで自然にヒール全部をパクっと掴まれてる感じなんですよねぇ。
それが歩いてもズレないので、踵に優しくくっついたままソールがついてくるようなそんな感じを受けます。かなり秀逸なヒール形状だと思います。
まとめ
ということでようやくVASSのメダリオンアデレードのご紹介ができました。
他にはない独特のアデレードオックスフォードのデザイン、渋いカラーチョイスのグレーミュージアムカーフ、ハーフミッドソールにベヴェルドウェスト且つメタルスチール付き、新型のFBラスト、もうこれでもかというぐらいめちゃくちゃにロマン詰め込み気味な仕様になりました。これはハーフサイズ大きいぐらいじゃ手放せないZE!
最高なモデルなので冬もガンガン履いていきたいですが非常に迷いどころですね。
雪が解けてからレザーのままハーフミッドソールの歩き心地を楽しむか、冬もガンガン行くためにラバーを貼ってしまうか…
ぐぬぬ…迷う…
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