念願のVASSをゲットした首藤ですが、初めてのVASSなら何ラストがいいかなとよく妄想していました。
まさに東欧靴といったブダペストラスト、ゆったりした設計で履きやすいと言われるP2ラストや3636ラスト、イタリアンラストを象徴する名作FラストやUラスト、などなど気になるラストがいっぱいありまして。
そんな中、首藤がゲットしたのはまさかのFBラストという木型でした。
謎を秘めたFBラスト。
Fラストの間違いか?と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが間違いではありません。結構モデル自体はリリースされてるんですが、FBラストは公式HPの方にもまだ掲載されてないんですよね。そろそろ出せばいいのにって思うんですけど。笑
今日はそんなVASSのニューフェイスFBラストを簡単にご紹介していきますよー。
Fラストについて!
VASSのラスト
FBラストについて語るためには、まずFラストについてご紹介する必要があります。
「VASS Fラスト」でググったらめっちゃ情報出てくるのでもはや説明不要かもしれませんが、簡単に触れておきますね。
VASSはハンガリーはブダペストのファクトリーブランドで、昨今の日本でも「東欧靴と言えばVASS」というぐらいにはその地位を不動のものにしてきた技術力を持っています。特徴は手先が器用だと言われるハンガリー人から生み出される驚異のハンドソーンウェルテッド。しかもフルハンドの10分仕立て。(これが良い悪いという話は別としますけども)
まさに首藤が大好きなブダペスターと呼ばれるゴリゴリのボックス系ラストの作り手なんですが、その中でも意外に結構ラストの展開が多いんですよね。
展開的にはやはりブダペスター的な特徴が多い印象があります。しっかりゆとりを持たせたもの、メリハリが聞いたものなど、そもそものハウススタイル的には完全にTHE 東欧靴なんですよね。
しかしながらVASSが日本で人気を博しているのは、どちらかと言えばイタリアンラストに類するラストかと思います。そしてそのうちの一つが今回のFラストなわけです。
東欧靴なのにイタリアンラスト?
見た目からしてもうFラストはVASSのハウススタイルとは程遠い印象があるんですが、それもそのはずFラストのデザイナーはフィレンツェの名靴職人”ロベルトウゴリーニ”だからです。
上記でしっかり解説されているのでちょっと引用します。
イタリアのス・ミズーラの工房と東欧のハンドメイドシューズのメーカー。なんら関係性が感じられぬこの2者を結び合わせ、コラボレートさせたのが、世界各国のシューメーカーと広くネットワークを持つ伊勢丹のバイヤー、山下卓也氏であった。
ウゴリーニ氏によるレディメイドの靴を実現したい。だが、ス・ミズーラで証明済みの同氏の天才性をレディメイドに生かすには、彼の要求に100%応えることのできる技術力を持つメーカーでなければならない。この条件から導きだされた回答がヴォーシュだった。
こうしてウゴリーニ氏が木型とデザインを手掛け、ヴァーシュが卓越したハンドメイドの技術で作り上げた至高のレディメイドシューズが誕生し、2004年春、伊勢丹新宿店でそのデビューを飾った。
出典:http://www.boq.jp/closeup/shoes/2006/060825_m-shoe/060825_sho.htm
なんと伊勢丹メンズがこの奇跡のコラボを演出したんですね!すげえや伊勢丹!
それにしても15年前ですか。首藤はまだ下手したら西友のワゴンに入ったスニーカー履いてましたね。それか靴流通センターのやつ。あ、でもよく分からずナイキも履いてたかもしれない。
まあこんなエピソードがあればそりゃ日本で人気出るわと。モノがいいのは勿論として、日本で生まれた奇跡なら日本人としては一度は体感してみたいというもの。
そして吸い付くような美しくてエレガンスなイタリアンラストと、無骨で実直なフルハンドのハンガリー製靴技術のコラボって、そんなのVASS以外じゃお目にかかれないのでは?(アッタラサーセーン!!)
ちなみにFラストってこんな感じ。超超美しい。超超超いい感じ。
ということでFラストは、VASSが展開する名匠ロベルトウゴリーニデザインのイタリアンラストの一つなわけです。
„F”: This elegant, symmetric last is also a popular choice: it is narrower than the P2, and is elongated and features a high instep.
上記が公式の説明。海外のこういうの見ててほんと思うんですけど、めっちゃシンプルですよね。笑 もっと特徴とか比較とか出来た経緯とかが書いてあればすごいうれしいんですけどね。
掲載順を見ると、おそらくVASSではP2ラストが一番人気があるんでしょうね。次いでFラストUラストあたりでしょうか。やはりすごいなウゴリーニラスト。
ということでFラストについてはこんな感じ。
首藤が当初一番欲しかったラストです。結局はデザインに惚れ込んでFBラストの靴を買うわけですけども。
FBラストってどんなラスト?
教えてVASSさん!!
FBラストの靴を買った経緯については、別の記事にて掲載しますが、今回はそもそもFBラストってどんなラストじゃい!というところを解説していきます。
と言っても考えても全然わからないので、素直にVASSにメールして聞いてみました。するとこんな回答が。
Yes, it’s a new last from Mr. Laszlo Vass’s grandson, Peter.
I attached a photo of the difference to last F.
This last is straight in the inner side and more rounded on the outer side making the last more comfortable.
やっぱりFBラストは新しい木型だった!
しかもこのラスト開発したのは、創業者ラズロ・ヴァーシュの孫のピーターさんとのこと!最近ニューデザインを披露したりと、めちゃくちゃ精力的ですねピーターさん。
たぶんですけどこのデザインの時にFBラストデビューしてると思うんですよね…。
かっこいーー!何ラストだー?と思ったらFBラストっていう知らないラストが出てきたので。(首藤の推測なので違うかもしれないですけど)
そして今回の返答に、なんとFラストの違いを図で説明してくれた写真を送ってくれました。めっちゃいい人じゃないか…。しかも手書き。愛が溢れる。溢れちゃう…BE IN LOVE…。(本ブログ二回目の登場)
図と説明から読み解くとFBラストは、内振りなFラストのインナーを削ってアウトサイドに幅を持たせた所謂”インサイドストレートアウトサイドカーブ”を強調することで、よりコンフォートな履き心地を追求した木型とのこと。
“インサイドストレートアウトサイドカーブ”と言えば、ハインリッヒディンケラッカーも同じ設計思想ですよね。
おそらくこの書き方だと、元々あったFラストをモディファイしてFBラストをデザインしたと推測されます。
そしてこの説明だと、Fラストよりアウトサイドの曲線がむっちりした感じになりますかね。Fラストはラウンドトゥですがなんだかんだ結構シャープな形状なので、FBはよりメリハリの効いた木型になっていると思われます。
実物を見てみよう!
事前知識も得たことですし、実物を見てみましょう。
ということでこちら、ドン!
ヒェェェエ~~~~、美しいィィィーーー!!
このキュッとくびれたウエスト、絶妙な角度と幅を保ったボールジョイント。
ヒールからの伸びやかなカーブが力強さを感じさせます。小ぶりなヒールとの対極さがいい感じですね。それが独特なグラマラスさを生んでいると思います。
でもこれ、なんというか…、うーむ。
別にいやとかそういうわけじゃないんですけど、なんというか…、
むしろFラストっぽい
あの図の解説で行くと、FBラストよりむしろFラストの形状の方が近くないです?笑
アウトサイドカーブはわかるんですけど、めっちゃ内振りに見えるんですよね。首藤アイズでは。
首藤的には結構親指デカ族なので、インサイドにボリューム合った方がコンフォートではあるんですけど。
これはあれですね。Fラストもゲットしてその違いを検証しないといけないですね。(確信)
これは使命ですからね。しょうがないから。比較しないと読者の皆様が困るのでFラスト買うだけですからね。まじほんとだから。使命使命。まじまじ。これはFラスト買うのも致し方なし。
アッパーのシルエットはどんな感じ?
FラストとFBラストは、ソールの形状の違いというよりは立体的に見たラストの部分の方が、違いが顕著に出てるんじゃないかなー?という気がします。
Fラストの靴は持ってないのでわかりませんが、画像をそれぞれ照らし合わせてみると、やっぱりトゥ付近のボリュームはFBラストの方がありますよね。丸くてポッテリしているというか。なのでシンプルなオックスフォードやホールカット系のデザインがすごくマッチします。
ポッテリラウンドトゥ筆頭のハインリッヒディンケラッカーRIOとはまた違ったポッテリ感ですね。RIOがマッコウクジラだとすると、FBラストはシャチって感じ。
Fラストの特性を引き継いでるのか、割と甲は高めです。トゥの捨て寸はFラスト由来で長めですが、サイドウォールは絶壁ではないので余計にポッテリ感が際立っているのかもしれません。
ボールジョイントとトゥのもっちり感というか、むっちり感がすごいですよね。
それに比べて踵、踏まず、履き口部分は細身でシャープな作りになっています。着ヤセするタイプかな?
上から見ても、ボールジョイントからトゥにかけての丸っこさがエレガンスになり過ぎない絶妙なバランスを生んでいますね。
Fラストだったらこのデザインだと、首藤にしてはちょっとドレス過ぎる感じだったかもしれません。何とも言えないバランス感覚が素晴らしいです。
FBラストのかわいらしいシルエットはカジュアルにも合わせやすいので、非常に首藤好みですよ。アデレードタイプのオックスフォードですがスーツよりもカジュアルスタイルの方が合う気がします。
まとめ
今回はVASSのFBラストについて解説しました!
Fラストとの比較どうだったでしょうか?
ふむふむ。そうですね。あんまりよくわかりませんでしたね。これはFラスト買うしかないですね。しょうがないですもんね。うむうむ。
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